ネット右翼では左派に太刀打ちできない

「ああ、たしかに従軍慰安婦は大切に「保護」されていたのだろう」
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20120117/1326825260

hokke-ookamiさんの上記ブログ記事で繰り広げられた「従軍慰安婦問題」についての議論を見て思った事ではあるのだが、確かに左派は熱心に史料研究を行っている。勿論その根元にある感情が「何が何でも日本が悪かったと思いたい」である事を抜きにしても、この勉強熱心な態度は素直に尊敬出来るのである。勿論、「慰安婦制度=強姦」であると断定するには、吉田証言における「慰安婦狩り」ほどの凶悪な性犯罪行為が立証されている訳ではない上、「当時でも問題とされる行為」だったのならなぜ当時に誰も問題にせず、戦後50年も経ってから表面化したのかも疑問であるなど、突っ込み所はあるにはある。ただ、少なくとも「慰安婦」を現在の「売春婦」と同列に見なすような言い方は失礼であるし、募集年齢等の面で違法行為があったという面では、旧日本軍にも不手際があった事自体は確かに否定出来ない(それが「賠償」の根拠になるかは別としても)。

左派と右派で対立している問題として、後挙げられるのが「日韓併合問題」だろう。左派は「植民地支配」を行ったとして日本を責め、右派はそれに対し「併合のおかげで朝鮮が近代化」したと日本を弁護している。日韓併合問題でややこしいのは、「悪い面」と「良い面」が排他的な関係にある訳では無い為、結局の所「日韓併合には良い面も悪い面もあった」としか総括のしようが無い所である。その為、右派は左派の主張する「悪い面」に難癖を付け、左派は右派の主張する「良い面」を無かった事にしようとするようになり、結果的に「植民地時代にハングルを普及させたのは日本か韓国か」(uedaryoさんのブログ(現在は閉鎖)のコメント欄で実際にこのような議論を見かけた事がある)などという、本筋からそれた不毛な議論ばかりが散見されるようになる始末である。ただネット右翼の立場から左派が主張する「日韓併合の悪い面」を真正面から否定出来ないのは確かである(「人口が増えた?欧州の植民地支配よりは人道的?それがどうした」と言われれば確かに返す言葉が無い)。

慰安婦問題」にせよ「日韓併合」にせよ、それを悪いと主張する側の論拠を真っ向から崩すのは正直困難である。「悪い」と思える余地が確かにある事は事実で、実際にそれを根拠に彼らが「日本が悪い」と主張している以上、根拠そのものを覆すような証拠なり論拠なりを提示しなければ彼らは論破出来ない(少なくとも不勉強な私程度では到底無理だ)。hokke-ookamiさんの上記記事のコメント欄を読んでそれを強く感じた。ネット右翼は良く某掲示板等で「サヨク」を馬鹿にしているが、本物の「サヨク」は決して馬鹿などでは無い。彼らの信奉する「日本絶対悪史観」(※)を堅持する為に強力な理論武装をしているのだ。ネット右翼程度の生半可な知識で彼らに対抗しようとするのは無謀だと言える。

※ただし、いわゆる「サヨクイデオロギー」から脱して客観的に日本を非難しようと試みる左派がいる事も事実だろう。私が知る限りにおいて、前述の「uedaryo」さんがそうだったように思える(ほんの短い間しか訪問していないが、既存の左派と決別するような記事も書いていた)。ただ残念ながらブログは閉鎖しはてなIDも消滅してしまっているようである為、現在もそのように考えているのかは分からない。