inunumaa2さんへの返信(10/31分)

本日頂いたトラックバックに対しての返信である。

http://d.hatena.ne.jp/inunumaa2/20111031/1320032442

inunumaa2さんの反論は、大きく3つあるが、この内の下記文面に関して反論させて頂く事にする。

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まず慰安所というのは、日本軍が運営に関与していることも多かったから、強制売春の存在は旧軍関係者にとってほとんど常識だった。戦後の兵士の体験記や従軍記、戦争読み物にも当たり前のように出てくる。そして戦後の日本政府や自衛隊には、多くの旧軍関係者が職についていた。しかし繰り返すが性暴力への意識の低さから、長らく「問題」と認識されずに放置されたのである(『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』『慰安婦と戦場の性』参照)。それが「意図的」であるか否かはどうでもよい。レイプ犯が「レイプの意図はなかった」などといっても意味がないのと同じだ。
 直接沈黙を強いたのは韓国社会といえるだろう(韓国社会に暮らしていたわけだから)。しかし日本社会も沈黙に加担していたのである。

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慰安婦に対し沈黙を強いたのが外部の圧力によるものであるとしても、日本政府はそれに関与していない(出来る訳がない)というのが私の意見である。inunumaa2さんの上記文は慰安所の存在を日本軍が知っていた(それがどうしたという気もするが)事を指摘しそれを「問題」として認識していなかったと仰っている訳であるが、それらが「日本社会も沈黙に加担していた」などという結論に結びつくように思えないのである。私の理解力が足りないと言えばそれまでだろうが、いずれにせよその結論に至るまでの過程を端折りすぎているか、自己完結しすぎでは無いだろうか?

しかし一番引っ掛かったのは、次の一文である。

>それが「意図的」であるか否かはどうでもよい。レイプ犯が「レイプの意図はなかった」などといっても意味がないのと同じだ。

失礼を承知で言わせて頂くが、実に稚拙な例えだと思う。その人物をレイプ犯と断定するには、客観的に見てレイプを行っていた事を証明する必要がある。被害者が「レイプだ」と主張しただけでレイプと認定されてしまうようなら、冤罪を生み出す危険性があるでは無いか。「加害者の意見を聞け」などと言っているのではない。その人物が加害者と定義しうるかどうかを客観的に判断する必要があると言っているのである。要するにinunumaa2さんの上記のたとえは、「慰安制度自体が強姦である(より厳密には、慰安婦制度に関与した日本軍がレイプ犯)」という前提が無ければ成立しない。そしてそれはどう見ても左派の意見であるし、慰安婦問題の大きな争点の一つだろう。さもそれが一般的な意見であるかのように語られても困る。