金李朴さんへの返信

11/13の日記についてコメント頂いた金李朴さんへの返信である。コメントで返信しようとしたのだが、少々長文になっている上色分け等した方が良いと考えたので、別にエントリーを挙げる事にした。

http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20111113/1321153688

はじめまして。長文かつご丁寧なコメントを有難うございます。

>30代リーマンさんのお考えはお考えとして、それで良いと思います。そのお考えが韓国や韓国人に影響することはありませんので。
同感です。

>さて、あなたは韓国併合が当時の国際法に照らして合法であったと言い切っている。日本人の学者の中にも、併合の不法性を論じる者はいるが、あたたはそういった学者たちの議論を確実に否定できますか? もし確実に否定できるとすれば、併合の不法を説く学者はあなたよりも愚かであるか、あるいは合法性を知りながら敢えて嘘をついていることになる。いったいどちらでしょうか?
その学者が嘘をついているのかどうかは分かりません。ただ主流である、「日韓併合が合法である」という意見を取り上げたに過ぎません。今後更に研究が進み、日韓併合を不法とする認識が国際常識として認知されるような事態になるのであれば、当然ながら私は認識を変える事でしょう。

>「日韓併合は当時の国際法上合法である」などと言い切って、それ以上の議論を放棄することは、危険ではありませんか?
私は議論を放棄すべきだなどとは一言も言っていません。それが純粋な歴史研究の範疇での議論であるという前提において、活発に議論が進む事自体は好ましい事であると考えています。しかしながら「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」のように、歴史研究の範疇を明らかに超えて他人を事後法で裁く等という行為は、法治国家としてやってはならない事だろうと主張しているのです。

>また、当時の国際法とは一体何でしょう? アジア諸国をも含めた国際会議か何かが開かれて、十分な議論を経て決められたものなのでしょうか? 当時の韓国はその会議に出席して、大いに意見を述べる機会があったのでしょうか? 私は当時の国際法なるものは、帝国主義列強が侵略を正当化するため、一方的に押し付けたものであり、それ自体が不法であると考えています。
私自身が大変不勉強な為偉そうに語るのは気が引けますが、国際法は侵略を正当化する為に作られた訳ではありません。1648年の「ウェストファリア条約」により生み出された概念としての「国際法」が、歴史を経る毎に慣習やルール、道徳を蓄積させて進化していっているものです。21世紀現在においても発展し続けていると言っても過言では無いでしょう。そこから導き出されるのは、植民地支配を悪と断ずるような道徳が、当時の国際法には反映されていなかったという事だけです。私が過去のエントリーで取り上げてきた小林よしのり著「パール真論」に、国際法の権威であるパール判事が生きた時代の法感覚を挙げますが、

「パールが生きた時代は、戦争が当たり前に存在し、その結果、国が滅んだり、植民地にされたりすることが当然のように起こっていた。そんな時代の法感覚は現代の平和ボケ意識からは到底想像もつかないものである。法に保護されると考える「人権」の範囲も、現在とは全く違う。」(パール真論:159ページ)

アジア民族にとっては、極めて理不尽な時代であった事は容易に想像出来ます。当のパール判事ご自身も、当時大英帝国の植民地下にあったインドで生まれ育った訳で、過酷な植民地支配を実体験しています。しかし現実問題として当時の国際法では「侵略戦争」の定義すら確立しておらず、それを悪と断罪するような事が出来なかったのです。

そのような時代であった事を鑑みて、改めて金李朴さんの「アジア諸国をも含めた国際会議か何かが開かれて、十分な議論を経て決められたものなのでしょうか? 当時の韓国はその会議に出席して、大いに意見を述べる機会があったのでしょうか? 」という一説を聞くと、大変失礼ながら荒唐無稽な絵空事にしか聞こえません。当時そのような国際会議の場で、意見を述べてましてそれが認められる程の発言力が朝鮮人を含むアジア民族にあったのであれば誰も苦労はしません。勿論それを批判的に見る事は可能であっても、事実は事実として受け止めるしか無いという事を言いたいのです。