何が問題なのか

韓国における「親日派」の財産が没収された政策は、さほど意外な話でもないと思うのだが

http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20100524/1274713953

一年半前の記事であるが、韓国が反日に染まっている事をこの上なく証明するものであり、ネット右翼の格好の的であると言っても良い話題なのだが、これを擁護しようとされている気概は凄いと思う。
ただ実際には、hokke-ookamiさんの擁護もかなり苦しいし、一体この法律の何が問題であるのかを正しく理解されていないように思える。

まず冒頭の、

                                                                                                                                                                                                                        • -

韓国における「親日派」とは日本に対して友好的な人々という意味ではない。植民地時代に日本へおもねった人々のこと。

                                                                                                                                                                                                                        • -

その定義では「植民地時代」を経験した韓国人しか対象にならない(まさかその子孫も同類なんて事は無いだろう)。親日的な発言をして犯罪者扱いされた戦後生まれの韓国人は「親日派」では無いのか?

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              • -

補足すると、親日派は太平洋戦争の終戦を境にして力を失ったわけではなく、韓国における長い軍事独裁政権時代にも統治者に近しい立場にあり、富の不平等な蓄積を続けていた。

親日派問題が植民地時代に端を発することは事実だが、半世紀以上前に終わった問題というわけではない。その意味でも、親日派財産没収は韓国民主化運動の一部として明確に位置づけることができる。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              • -

勿論韓国の法律を元に「事後法」である断ずるだけでも反論は可能であるが、もう少し踏み込んでみる事にする。

まず「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」は、「日本統治時代に「反民族行為者」の財産の取得が違法」であるという前提の上で成立している。そこには、日本の植民地支配そのものに関する法的解釈が介在しなければならない。要するに、韓国は日韓併合が違法である事を客観的に証明する必要があるのである(日韓併合が合法なら、当時韓国という国は存在しておらず、そこで暮らす人々も法的に当時は日本人である。「反民族行為」等と断罪出来る根拠自体が無くなるのだ)。そして韓国にとっては不本意な事だろうが、日韓併合は当時の国際法上合法である。この前提がある以上、事後法だから駄目とか以前に、極端な話日本統治されていた当時であっても「親日派」を処罰する法的根拠が無かったのだ。

韓国が日本を非難出来る根拠は「植民地」に対する道義的責任だけである。しかし下記記事で書いた通り、道義的責任で他人を批判する権利は存在しても、他人を裁く権利は存在しない。

http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20111030/1319978232

はっきり言ってしまえば、「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」というのは、韓国政府が公の場で「人民裁判」を行っていると断じても良いのである。法治国家としては最もしてはならない部類の行為であると言えるだろう。