消費税増税を恐れてはいけない

「政府・民主、一体改革案を年明け決定=野田首相「消費増税法案、年度内提出」」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111230-00000079-jij-pol

いよいよ消費税増税がまったなしの状況のようだ。
随分長い間検討されている問題だったと思う。十年位前の日経新聞の社説で、「消費税の増税は避けられない」という内容の記事を読んだ記憶があるが、だとすれば5%から10%に挙げるのに10年以上の歳月を掛けた事になる。
極端な話政府としても、消費税の増税最後の切り札と言えるようなものでは無いだろうか?これまで何度も先送りにされて来た感のある消費税増税に手を出さなければ、財政が持たないという危機感を表しているように見受けられる。
何せかの「失われた10年」の原因の一つと言われる消費税増税である。及び腰になるのも無理は無い。就職氷河期を経験した世代としても、あんなものは二度と経験したく無い。

「なぜ日本はギリシャにならないか」
http://d.hatena.ne.jp/st43/20111106/1320582833

上記st43さんの記事でも触れられているが、

「日本人の生活水準はかなり下がることになりますが、消費税50%でも生活できないほどではないでしょう。」

確かに、仮にこれまで1,000円の買い物をして50円の消費税が取られて1,050円になっていたのが、税率が上がって1,000+100円=1,100円になったところで極端に生活が困窮するとは考え難い。消費税の増税そのものが直接の原因で、生活が立ち行かなくなって破産する家庭などは流石に無いと思われる。そんな事は政府も理解しているだろう。政府が一番恐れているのは、消費者マインドが冷え込んでデフレになる事である。
実際そんなに苦しくも無いのに、消費者が必要以上に消費を渋った結果、結果的に増税前より税収が減るという悪循環を招いたという1997年の税制改革は、日本経済史に残る失政例と言われているが、よくよく考えてみると、消費税を増税した政府というより、過剰反応し過ぎた国民にその原因があるのでは無いかと思うのである。

勿論経済の知識など皆無の私が偉そうに、「消費税なんて怖くも何とも無い。5%UPなんて屁でも無い」等と無責任極まり無い事を主張するなどとんでもない話である。ただ注意しなければならないのは、消費税が上がった場合は、絶対に税収が上がらなければならず、その為に政府、国民ともに一体となって取り組まなければならないという事だ。反対する事自体は良いし、増税後もなお反対の立場として議論する事も全く問題は無い。ただそれは、実際に上がった後の消費活動等とは無関係の次元で議論しなければならない。要するに、消費税が上がった後でも今までと同じように消費活動を行う義務が国民にある(消費税が上がった分だけ節約しようと言う考えは本末転倒である)。今回の消費税増税が吉と出るか凶と出るかは、正に国民一人一人の意識に掛かっていると言える。

「消費税増税が国民の生活を苦しめる事は無い」「消費税増税は恐れる必要が無い」とまでは私には言えない。ただ「消費税増税を恐れてはいけない」とだけは主張しておきたい。