「日本=絶対悪」は国際常識?

今日も異常に寒かった。こんな日に限って夜遅くまで残業する羽目になるとは・・・。

ネット右翼では左派に太刀打ちできない」
http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20120128/1327736249

この過疎ブログで何故か異様な程に盛り上がった上記記事であるが、要するに「日本を悪い」と思うのには事欠かないという事である。何を持って悪いとするかという点で見ても、慰安婦問題、南京事件日韓併合など、彼らが日本を悪と断ずる材料は腐る程あり、挙句旧日本軍の軍人が個別に起こした事件でも日本政府の責任とする見方もある事から、これらの根拠を一つ一つ崩していくのはほぼ不可能であると言わざるを得ないのである。それに加え、彼らは方向性はともかく非常に勉強熱心であり、個別の案件について様々な文献を元に「日本の悪行」を研究しつくしている。この部分は皮肉でも何でも無く素直に尊敬出来る。しかし「何故日本が戦争をしたのか」といったマクロな見方であれば、日本固有の問題として扱う事も適切であろうが、彼らが良く指摘する「民間人の殺害」や「強姦」と言った「通例の戦争犯罪」というミクロな視点になると、日本以外の国でも同様の事件は起きており、ましてそれら他国の事例と比較して日本が極端に悪いと言うような意見は余り聞かないのも確かである。であれば、何故彼らは日本の悪行だけを過剰なまでに取り上げるのかという疑問が生じる。hokke-ookamiさんのブログで実際にそのような質問をしたコメンター(※1)がいたのだが、それに対し「日本人なのだから当然」と、(従来の左翼のイメージとは異なり)妙にナショナリストっぽい回答がなされたのが印象に残った。ある意味完璧に近い理論武装では無いだろうか?生半可な知識しか無い私のような「ネット右翼」程度では到底太刀打ち出来るものでは無いと結論付けた理由は、大体こんなものである。

なお、「日本=絶対悪」という考えが世界中に浸透している事例の一つとして、kaipopoさんよりトラックバックを頂いている。

「「大日本帝国=絶対悪」という常識 欧米の事例」
http://d.hatena.ne.jp/kaipopo/20120201/1328110644
>欧米諸国では第二次世界大戦中の日本軍の捕虜虐待問題が戦後根強く意識され続けました。

確かに日本軍の捕虜に対しての苛烈な扱いは、かの「バターン死の行進」などでも有名である。東京裁判の訴因の中にあった為、パール判事もこの問題を取り上げている。パール判事も「バターン死の行進」には批判的な意見を持っていたようである。

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バターン死の行進」については、パールは「実に極悪な残虐」と呼び、輸送機関もなく、食糧も入手しえなかったためにやむをえなかったという弁護によっても、少しも正当化されないとする。(パール真論:341、342ページ)

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ただ承知の通り、パール判事の判決は「全被告無罪」である。

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だが同時に、それを東京裁判の被告の誰にも責任を負わせる事はできないとする。これは残虐行為の孤立した一時例であり、その責任者はその生命をもって償いをさせられた。現在の被告の誰も、この事件に関係を持たせる事はできないのである。(パール真論:342ページ)

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またパール判事は、「そもそも日本と欧米諸国間で、「投降」という行為に対する考え方が違い過ぎる」事、「3万4千人の日本軍に10万の軍隊が降伏するという事態に物理的に対応できなかった」事など日本の事情に対して一定の配慮を示している事も事実であるが、それは欧米諸国の事情でない為、反日感情の一因になるのも仕方無いと言わざるを得ない。

>少なくとも欧米諸国は「戦後日本」の平和主義と国際貢献を評価することで、中国や韓国のような対日非難を控えているということです。裏を返せば「大日本帝国は悪い」ということは、中韓同様ゆるぎないのです。
表には出て来ていないだけで、欧米諸国、中韓共に「戦前の日本」を悪であると認識しているという点には相違が無いという事のようである。ただ韓国を除けば、欧米諸国にせよ中国にせよ交戦国であった訳で、(例え戦争行為として正当化出来る事柄であろうが)基本的にネガティブに受け止めるのは当然と言えば当然(※2)であり、「戦前の日本を賞賛する」というのは逆に異様な光景では無いだろうか?ここから導き出せるのは、どの国も少なからず自国の主観を交えて「戦前の日本」を評価しているという事であり、それを根拠に「日本=絶対悪」が国際常識であるとまで捉える事が適切であるかは疑問の残るところである。

※1
産経新聞の百人斬り教育報道に基づいて学校へ抗議が入れられたという」
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20120202/1328197557

※2
いかに現在の日米関係が良好であろうが、また当時のアメリカにどのような大義があろうが、「原子爆弾の投下」を肯定するなど、日本の立場から絶対に出来るものでは無いのだ