国歌斉唱を拒否する正当性を正しく示せているか

「公私混同している教職員」
http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20120315/1331811909

上記記事のコメント欄でhogeさんと議論させて頂いた。当記事で私なりにまとめてみたい。

hogeさんは、日の丸や君が代を拒絶する教員が何故そのように考えているのか、またその歴史的経緯を理解した上で議論すべきだと主張されている。

私は上記に対し、実際に不起立を強行している教員がその理由を明確にした上で、不起立行為の正当性を訴えているようには見えないと反論した。むしろ、「強制が良くない」、「ファシズム的だ」など議論を相対化させている論調がほとんであると感じているからだ。

またhogeさんは、不起立の理由を求めるならば、国歌斉唱を強制する側がその理由を明確にするのが筋では無いかとも主張されている。

そもそも「君が代問題」で争われているのは、学校の卒業式において国家斉唱を行う事自体では無く、それに各々の教員が従う義務があるかどうかである。不起立を強行する教員も、またそれを支持する側も、卒業式で国歌を歌う事の是非について問題提起している訳では無い。論点になっていない以上、国歌斉唱を義務付ける理由など問われる必要は無い。何故ならば、強制する理由が無い=拒否する理由にはなり得ないからだ。

http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20120105/p1

上記id:Apemanさんのブログに参考になるコメントがあった。

「何故日本の戦争犯罪(上記記事では南京事件)には厳しいのに、他国の戦争犯罪には触れないのか?」

上記のような趣旨のコメントに対し、

「「あいつらもやったのに何で俺だけ悪いんだ」という無反省な子供の理屈を恥ずかしげもなく振り回すトンチキ」

と非難したコメンターがいた。不起立を強行する教員が「国歌斉唱を義務付ける理由が明確でない」事を理由に不起立行為を正当化しようと考えているのであれば、正にそれは無反省な子供の理屈を恥ずかしげもなく振り回すトンチキであると非難されても仕方が無いように思えるのだ。「あいつが悪い事をしているから、俺も悪い事をして良いんだ」なんてのは確かに子供の理屈である。


いずれにせよ、国歌斉唱についての不起立行為の是非という論点に絞った場合、教員側がその正当性をしっかり主張出来ているようには、私には思えない。「憲法19条で思想信条の自由が保障されているから」なんて逃げ方はせず、日の丸・君が代を忌避する自身の思想信条が正しいという事を裁判官や学校側に納得させない限り、この問題は(教員側にとって)好転しないだろう。「個人的にそう思っているから」程度では、職務命令に反抗する理由としては弱いというより、話にならないのである。


君が代関連のエントリー(こうして集めてみるとid:hokke-ookamiさんの記事に対してのトラックバックが非常に多い(お世話になっています))

「歌えない」のでは無く「歌わない」
http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20111204/1322987719

君が代問題」
http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20111121/1321882845

君が代が嫌なら無い所に行け」
http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20120108/1325993316

君が代問題における私見
http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20120207/1328602721

「「君が代問題」に世界の常識など関係ない」
http://d.hatena.ne.jp/syachiku1/20120130/1327931683