東京裁判を否定するリスク?

チャーチルの言う通りにしておけばよかった?」
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20120601/p1

上記id:Apemanさんのエントリーに、私の東京裁判否定論についての批判的なコメントが多数書き込まれている(私を名指ししている訳ではないので勘違いかも知れないが)。その中で、りょうさんのコメントには中々興味深い事が書かれているので、当エントリーで反論させて頂く事にする。

>一番気に入らないのは、東京裁判けしからんと言い出す論者は、東京裁判を破棄して自分の手でもう一度裁かせる行動を決してとらないことです。

要するに東京裁判を抜きにしても日本を法的に裁く余地はあるという事のようである。しかしパール判事は東京裁判を否定すると同時に、国家として日本に問える法的な罪が無いという事を意見書に書いているのだ。東京裁判に代わる公平な裁判を開いたからと言って、日本の罪が問えるなどという単純な話では無い。

こういう人達に「パール判事」を持ち出しても余り意味は無いのかも知れないが(パル真理教・・・。ついに宗教にまで進化したか(笑))、一応引用する。

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「日本人はこの裁判(東京裁判)の正体を正しく批判し、彼らの戦時謀略にごまかされてはならぬ。日本人が過去の戦争において、国際法上の罪を犯したという錯覚におちいることは、民族自尊の精神を失うものである。自尊心を失った民族は、強大国に迎合する卑屈なる植民地民族に転落する。日本は、連合国によって与えられた”戦犯”の観念を頭から一掃せよ」(パール博士「平和の宣言」)

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何のことは無い。東京裁判を重要視していないように見えて、結局は「東京裁判史観」の延長線上に立っているだけだ。「戦犯」ありきでしか日本の戦争を捉えきれないのがその証拠である。


>(東京裁判を否定すれば)戦後日本がようやく手に入れた國際社会の信頼を一瞬に失わせる

良く聞くのが「サンフランシスコ講和条約11条で東京裁判を受諾している以上、東京裁判を否定するという事は、戦後の日本の外交を否定するに等しい」という意見である。
そもそもこの条約で日本政府が受諾したのは、「裁判」では無く「諸判決」である。下記のDr.マッコイさんのサイトに詳しい。

サンフランシスコ講和条約11条の正しい解釈」
http://d.hatena.ne.jp/drmccoy/20060929/p1

簡単に言えば、裁判が不当かどうかに関わらず、言い渡された諸判決に従うという事であり、裁判の不当性を論じる事を禁じる性質のものではない。その内実は、アムネスティ条約の適用を停止し、当時まだ巣鴨に拘留されていた人々を「諸判決」どおり服役させる事だけを要求する条文であり、それ以上の拘束力は無い。東京裁判を不当だと主張したからと言って、サンフランシスコ講和条約には何ら影響は無いのだ。大体、日韓の戦後補償は国際条約で決着している(また「はい。アウト」とでも言われるのかね(笑))にも関わらず、未だにそれを蒸し返してくる同国を非難するどころか支持までしている連中が、どの面を下げて「東京裁判を不当だと言うのは国際条約違反だ」だなどと非難するのかという話だが。


・・・久しぶりに長文を書いて気分が悪くなった(笑)。