細川氏が東京都知事選に出馬

細川氏出馬表明」
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6103671

少し古い話題になってしまった・・・。

まさかの細川元首相の立候補である。元総理という肩書きはかなりのポイントになるだろうが、正直細川内閣は短命政権に終わっている上に、20年も前の話である為、今ひとつ印象が薄い感が否めない。しかし支援を表明している小泉元首相のネームバリューは現在でも非常に大きいので、いずれにせよ見逃せない勢力になりそうである。

まあ東京都民ではない私としては、余り誰を支持するとか言った意見は無いが、細川氏の名前を久しぶりに聞いてふと思い出した人物がいる。細川氏の祖父にあたる近衛文麿だ。

昭和の激動期の首相として外せない人物だろう。在任中に、日中戦争の勃発、日独伊三国同盟など、戦前日本の破滅の要因とも言えるような数々の出来事が起きており、戦後に「Å級戦犯」として指名を受け、自殺するという非業の最期を遂げている。

A級戦犯」として特に有名なのは東條英機であるが、仮に近衛が東京裁判に出廷していれば、東條に匹敵する程の注目を集めたのでは無いかと言われている。太平洋戦争にしても、一説には第三次近衛内閣の時点で開戦は避けられない状態になっていたと言われており、近衛の戦争責任を問う声が国内外問わず大きかったようである。

近衛政権時の実績を見る限り、近衛が主体として何かをしたというより、常に軍部に振り回されている印象が強い。戦時中に終戦工作に積極的に関わっているとは言え、自身が政権を握っていた肝心な時期には日中戦争の拡大を止められないどころか、「国民政府を対手とせず」で有名な近衛声明で和平への道を困難にしてしまっているし、戦後の行動も「自分の事は棚に上げて戦争責任を全て軍部に押し付け、GHQに擦り寄った」と見られても仕方の無いもので、正直情けないと言わざるを得ない面が多いのは事実である。ただ私は、左派のように日本国内だけで犯人探しをするような真似をするつもりは無いし、「近衛文麿こそ、日本の破滅を招いた張本人だ」などと言うつもりもない。実際近衛も広田弘毅と同じで、軍部の圧力で思うような舵取りが出来ず、苦労した面が多かった事も事実なのである(彼も運の悪い時期に総理大臣を任される羽目になったと言える)。

近衛は人当たりの良い人物で、態度も紳士然として国民の人気も高かった。しかしその性格が災いし、ここぞという時に強く主張する事が出来ず、軍部に直接物も言えない程の気弱な一面があったと言われる。どちらにせよ平時であれば政治家として優秀な実績を残す事も可能だったかも知れないが、戦争という特殊な局面での総理大臣という職は、彼には荷が勝ちすぎたという事なのかも知れない。

ところで、細川元首相は何かと近衛文麿に似ていると言われているようだ。(まあ実際に親族なのだから当然なのかも知れないが)見た目の雰囲気が似ている事に加え、政権運営にしても、途中で投げ出す形で総辞職したなどと言った事が共通点として挙げられるそうである。ただ流石に、近衛内閣と細川内閣では情勢が余りに違い過ぎるので、この2つを比較する事に余り意味は無いと思われるが、もし細川氏東京都知事として選ばれた際は、「また投げ出した。本当に祖父に似ている」と揶揄される事のないように、職務を全うして頂く事を願う次第である。