安重根を称えること自体は自由

毛沢東の功罪両面を見る中国、伊藤博文の功の一面しか見ない日本」
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20140120/1390234476

まずもって、「中国は毛沢東の功罪をバランス良く見ているのに、日本は伊藤博文の功しか見ていない」と、要するに中国の見方の方が客観的だと評価しているようではあるが、例示が極端過ぎる。
何より、このエントリが安重根記念館を日本が批判した事に端を発している事を考えれば、伊藤博文の功罪を論ずる必要もない(日本政府も、伊藤の功罪なんて別に触れてもいないではないか)。焦点になっているのはあくまで安重根である。

まず日本政府の見解がどこまで踏み込んでいるかは正確には分からないが、私見として安重根という人物を韓国が英雄視する点については特に何も言う事はない。安は日本からすればただのテロリストだが、自らの死を賭けて祖国を守ろうとした信念は本物だったと思う。現在の韓国が韓国併合を否定している以上、それに抗った彼を英雄視したいというのには、同意はしないものの一定の理解は示したいところだ。

ただ今回の安重根記念館は、そもそも中国のハルビン駅に開設されていると言う点が問題だ。要するに安重根そのものの英雄視では無く、伊藤博文を殺害したという行為そのものを称えている事を意味している。確かに安重根自身、「伊藤博文を殺害した」以外で、歴史に名を残すような事はしていない。しかし当時の価値観でも、安は間違いなくテロリストであり犯罪者である。いくら何でも「殺人」という行為そのものを肯定するというのは行き過ぎだろう。「やった事はまずいが、でも国の為に命を捨てた国士だ」とか、もう少しオブラートに包んで称えるべきでは無いのか?


>まあ、毛沢東に比べれば小物感がありますが、伊藤博文も近代日本建国における英雄と言えます。

これには笑ってしまった(小物って言いたいだけだろう)。完全に中国の目線で歴史を語っていると自白しているようなものである。しかし他の左派のように、中途半端に中立ぶったりせず、ぶれない姿勢は純粋に尊敬出来る。

しかし、まあこれはこれで言い得て妙かも知れない。毛沢東に比類し得る「大物」は、スターリン位だろう。