伊藤博文の虐殺?

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20140128/1390861798

また丁寧な反論のトラックバックを頂いた。ただ時間が無いので、ポイントに絞って返答させて頂きたい。

>まあ、スターリンと言いたいだけだろうとか思って笑わせてもらいましたが。
まず、以前のエントリーで私が安易にスターリンを引き合いを出した事については謝罪したい。冗談のつもりで書いたのだが、どちらにせよ安直過ぎた感は否めない。

毛沢東は大量虐殺したが、伊藤博文はしなかった?”

そうでない事を証明する意図で、伊藤博文の韓国総監就任時に起きた義兵闘争を虐殺として挙げているが、文化大革命と同列で比較するのは非常に困難であると言わざるを得ない(死者数以前の問題として)。

義兵闘争は、武装した韓国人と日本軍の戦いである(戦局が一方的で、義勇軍側の方が被害が圧倒的に多い点は否定しない)。文革は、無抵抗な学者や教師、その他文化人や一般人に対しての弾圧である。性質が違い過ぎる。

また、毛沢東伊藤博文の各々の事件への関わり方もまるで違う。伊藤博文は義兵闘争時の責任者だったという繋がり位しか無いが、文革毛沢東の権力奪取の手段だった。勿論あそこまで事態が悪化するとは毛も思ってはいなかっただろうが、彼が引き起こした「革命」である事は疑いようも無い。簡単に言えば、伊藤博文がいようがいまいが義兵闘争は起こっていたが、毛沢東がいなければ文革自体起こらなかった可能性が極めて高いと言う事だ。

とてもではないが、毛沢東文革を虐殺と言うなら、伊藤博文の義兵闘争も虐殺だ(こちらは伊藤が起こした訳でもないが)などと相対化して扱えるようなものではない。


なお、scopedogさんは以前のエントリーで、安重根を犯罪者であると日本政府が認識しているのはおかしいと主張されている。村山談話等で韓国併合を誤りだと認めておきながら、それに抵抗した安重根を犯罪者扱いするのは矛盾しているというような内容だったと思うが、それを補足するような事を当エントリーで書いている。

>“法的には「犯罪者」だが、植民地支配を正当化するものではない”という程度のことすら安倍政権は表明していませんが、私はせめてこの程度の留保を明言していれば、暗殺という手段を非難することは正当だと思っています
それ以前に、植民地支配の正当化と、安重根の評価は直接結びつくものでは無いというのが私の意見である。植民地支配を否定するのであれば、同時に安重根の行為を肯定しなければならないなどという事はない(そもそも、「安倍政権は植民地支配を正当化したいと考えている歴史修正主義政権ですので」という意見も、余りに一方的な決めつけだ)。日本の立場として、伊藤博文という日本人を殺害した安重根を犯罪者として認識するのは(韓国併合の肯定・否定に関わらず)妥当だと思っている。