成人式の思い出(2001)


成人式で毎回一部の新成人が騒動を起こすのも、今や恒例となっている感がある。

言うまでも無いが、これらはあくまで一例であって、大多数の新成人は粛々と参加しているという点だけには注意しておきたい。一時期、「もう止めた方が良いのでは無いか」という声も聞かれたが、真面目に参加している新成人の為にも、この文化を存続させて欲しいと願う次第である。

私が新成人として成人式に参加したのは、2001年である。よりによって、高知県での「帰れコール」や、香川県高松市の市長に対しクラッカーを打つ事件など、成人式におけるマナー低下が全国で大きく取り上げられる契機となった年である。


勿論私が参加した自治体では、事件沙汰になる程では無かったが、正直それでもかなり酷いものであったと言わざるを得ない。

成人式場において、壇上で市長始め来賓が祝辞を述べている最中も、私語が絶えなかった。それもこそこそするならまだしも、平然と大声で、まして大笑いしながら普通に談笑しているのである。一人や二人では無い。下手すると会場の新成人の半分位がそんな状態だったのでは無いだろうか?流石に来賓も注意をするのだが、これが全くと言って良いほど効果が無かった。来賓の一人が、大騒ぎしている新成人のグループを終始にらんでいたのが印象的だった。

来賓の祝辞も後一人となった時に、司会が「後一人で終わりますから、もう少しだけ我慢して下さい」と新成人をなだめるような事を言っていた。これではまるで小学校の入学式では無いかと心底恥ずかしくなったものである(いやむしろ小学生に失礼か)。

ようやく祝辞が終わり、新成人と来賓と交えての食事会が執り行われる運びとなっていたのだが、何とこの時点で大騒ぎしていた新成人(全体の半数近く)が、席を立って会場を去ろうとしたのである。主催者側はこれに驚き、「帰る前に記念品を受け取って下さい」と慌てて準備をしていた。聞いた話しでは、そのまま街に繰り出して遊ぶという事だった。この食事会は、きちんと事前に告知されており、式のプログラムの一つであった(自由参加なんて記載は案内状には無かった)。成人式を途中退場したも同然の行為である。

祝辞も満足に聞かず、食事会にも参加しない。記念品目当てだったようにも到底見えない。私は勿論、残った新成人や来賓の方々も同じ疑問を抱いた事だろう。「お前ら一体何しに来たんだ?
※ただ食事会に酒があった事を考えると、ただでさえ大騒ぎしていたあの「新成人っぽい猿集団」に酒が入って更に醜態を晒す事は想像に難くなく、案外途中で消えてくれたのは良かった事だったのかも知れない。


冒頭に述べたとおり、新成人も全員が全員素行が悪い訳では無い。ただ私が体験した成人式も、一部(というには余りにも多すぎるが)「マナーの悪い新成人」が場の空気をぶち壊した事は否定出来ず、主催者である自治体に対し心底申し訳ない気持ちで一杯であった。成人式の規模にもよるだろうが、一人の新成人の身勝手な行動が、主催者は勿論の事、一緒に参加している新成人にも迷惑を掛けるのだという、余りにも当たり前な事を痛感した成人式だったと思う。ただ結局の所、見て見ぬふりをしていた私のような「真面目な新成人」にも、反省すべき点があったのかも知れない。彼らに注意をする勇気のある新成人が誰ひとりいなかったという点においても、色々な意味で残念な成人式だったと言えるだろう。