新年度

今日から新年度という事で、朝会社へ向かう途中、多数の新社会人を見かけた(多分どこの会社も今日は入社式だろう)。

別に特別な格好や印がある訳でも無いが、その人物が新入社員であるかどうかは一目で分かる。単に若いとかスーツが真新しいとか言うだけでは無く(スーツのボタンをきっちり止めている辺りも)、雰囲気が普通のサラリーマンとは全く違うのである。言葉で表すのは難しいが、いかにも「フレッシュマン」であるという感じがびんびん伝わるのである(こういうのが分かりだすのは、それだけ年を食ったという事なのだろうか)。それに比べて私のような中年サラリーマンの何とみすぼらしい事か。鏡で自分の顔を見ると、常に眼にクマが出来て血色も悪く疲れ切っていて、見るだけで憂鬱になる。

彼らフレッシュマンに対しての会社の風当たりは、必ずしも良いとは言えない。会社にも寄るが、最初の一年間はOJT等も含め研修期間とし、みっちり新入社員を育てる風習があるのだが、最近は即戦力を求める風潮が高まっているらしく、研修自体を短くしたり、途中で打ち切って多忙な現場に配属したりと言う事も多い。酷い会社では、会社側に教育する余裕も無く、かと言って即戦力としても活躍出来る場が無く、結局全くと言って良いほど仕事が与えられずに「社内ニート」になってしまう新入社員もいるようである。元々今年度の新入社員は、過酷な就職難にさらされている。入るのにも苦労したのに、いざ入ったらろくな教育も受けずに仕事も満足に与えられない等と言う状況は余りにも不憫である。そもそも、企業活動は世代間で循環させるのが何より重要である。ある世代だけに極端に技術力が集中すると、その世代が定年退職する際に引継ぎなどが間に合わないケースもある(実際には、定年退職となってそのまま「嘱託」という形で残って貰うケースがかなり多い)。彼らの世代が会社を引っ張っていく日は必ず来る。彼らが育たないという事は、将来の企業活動を停滞させる事を意味するのだ。不景気のせいで業績が悪いのなら、今いる社員のボーナスを削るなりすれば良く、しわ寄せを何の罪も無い新入社員に追わせるのは筋が通らない。企業活動を継続する上で、新卒採用とその育成は必要不可欠な要素であり、これらは景気などに左右されてはならないのだ。

年だけ無駄に食っているだけの中年サラリーマンが何を偉そうに思われるかも知れないが、全国の新入社員の皆さんには、今抱いていると思われる夢や希望を失わずに、頑張って頂きたいと思う次第である(それが難しい時代である事は重々承知の上で)。