島田荘司

進々堂世界一周 追憶のカシュガル
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20120409/1334014025

hokke-ookamiさんの趣味は本当に幅広い。「島田荘司」という名前が出て来て少し驚いたものである。

私も島田荘司氏の本を熱心に読んでいた時期がある。氏の著書で最も有名な「占星術殺人事件」を皮切りに、「斜め屋敷の殺人」「異邦の騎士」「暗闇坂の人喰いの木」などの御手洗潔シリーズはもちろん、「寝台特急はやぶさ」1/60秒の壁」「出雲伝説7/8の殺人」「北の夕鶴2/3の殺人」傑作とされる「奇想、天を動かす」などの吉敷竹史シリーズも全てでは無いにせよ読ませて頂いている。

何と言っても氏の推理小説の一番の特徴は、その奇抜なトリックだろう。どうすればこんなのが思いつくのかと何度も感心させられたものだ。ただトリックが余りにも奇抜過ぎる故に、犯行の動機と吊り合ってなかったり(アリバイ作りの為とは言え、そこまでの事をする必要があるのかと何度も疑問に思った事がある)、そもそも動機自体が不鮮明であったりと違和感を覚える事は多々あったのではあるが、いずれにせよ読み応えのある推理小説である事には違いがない。

占星術殺人事件」を別格として個人的に印象に残っているのは、「死者が飲んだ水」である。探偵としては天才型の御手洗潔、秀才型の吉敷竹史と比べても見劣りする感の否めない牛越刑事ではあるが、終始変人ぶりを発揮している御手洗潔は勿論の事、刑事であるとは言え、組織の人間として協調性がお世辞にもあるとは言えない吉敷竹史も感情移入の対象としては難しい面があるのに対し、良くも悪くも人間らしい牛越刑事にはある種の親近感を抱いているのが関係しているのかも知れない。この3人の内、飲みに誘うとしたら断然モーさん(牛越刑事)だろう(笑)。

死者が飲む水 改訂完全版 (講談社ノベルス)

死者が飲む水 改訂完全版 (講談社ノベルス)

最近は推理小説を全く読んでない。久しぶりに書店に行ってみるか・・・。