李明博大統領の苦悩

李明博大統領がさらにエスカレート 「天皇は韓国人に土下座して謝罪せよ」」
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1725995.html

李明博韓国大統領に対する印象は最初はそんなに悪いものでは無かった。それまでの大統領のように、反日施策で国民の支持を取り付けようなんて露骨な態度は取らず、むしろ日韓関係を実利面から考えていこうとする姿勢だったと思う。国民がどれだけ反日に凝り固まっていても、首脳レベルがまともであるなら日韓関係の先行きは安泰だと言う印象があったのだ。

しかしそんな同大統領の対日施策に大きな転換期が訪れた。約1年前に韓国政府を相手取って起きた慰安婦への賠償を求める裁判で、「韓国政府の解決に向けての消極的な態度は憲法違反」という判決が下された事により、韓国政府が方針転換を余儀なくされたのである。この判決は日本政府には別段拘束力を発揮しないものではあるが、少なくとも政府間ではまだ良好だった日韓関係に対する懸念材料であるという認識はあったものと思われる。案の定、その年12月の日韓首脳会談では大統領自身が慰安婦問題の解決を日本政府に迫り対立する面が見受けられた。ただ私はこの時の同大統領の心情は相当苦しいものでは無かったかと推測している。「嘘でも良いから非を認めてくれ!形で示さないと国民に袋叩きにされる!」と、こんな悲痛な思いだったのでは無いだろうか?

元々同大統領については、(相対的に見れば)親日的であると見なされる面があり、日本の左派からは嫌われているようだった。この1年間の対日施策で右派からも嫌われた事は言うまでも無い(元々右派から取り立てて支持されていたようにも思えないが)。(あくまでもこれまでの大統領と比べれば)まだ日本に友好的な態度を取って来たのに、結果的に日本からは総スカンを食らう格好となってしまっている。では肝心の韓国国民から支持が得られているかと言えば、それもどうやら微妙のようである。側近のスキャンダル等が原因で下落していた求心力を回復するまでには至っていないようで、本人がどう思っているのかは知らないが、一種の四面楚歌のような状態に置かれているのでは無いだろうか?

同大統領の任期満了は近い。これまでの歴代大統領の退任後の末路を見れば分かるように、政権末期は死に物狂いで自己保身に走らなければならないという事情があるのだろう。勿論竹島上陸や天皇陛下に対する非礼など、不必要に日本に喧嘩を吹っ掛けてくる態度には怒りを感じてはいるものの、逆に言えばそれ程までに追い詰められているのでは無いかとも推測出来るのだ。この国で「親日派」と見なされるのは極めて危険である。ただでさえ大統領職を辞するという不安定な時期に「親日派」などと認知されていては、本気で命が危ないと考えるのも無理は無い。多少過剰だと受け止められてでも、「反日」をアピールしなければならないのだろう。そのように考えていくと、李明博氏にはもはや同情の念すら浮かんで来るのだ。

李明博大統領が、退任後も健やかに余生を過ごせるようお祈りする次第である。

ただそれとは別に、天皇陛下に対する非礼だけは、(それが本音であるかなどは関係なく)絶対に看過出来るものでは無い。日本政府は毅然とした態度で挑まなければならない。